第1節 取消訴訟(第8条―第35条)/行政事件訴訟法


(昭和三十七年五月十六日法律第139号)

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最終改正:平成八年六月二六日法律第110号


    第1節 取消訴訟

(処分の取消しの訴えと審査請求との関係)
第8条  処分の取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することを妨げない。ただし、法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、この限りでない。
 前項ただし書の場合においても、次の各号の一に該当するときは、裁決を経ないで、処分の取消しの訴えを提起することができる。
 審査請求があつた日から三箇月を経過しても裁決がないとき。
 処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき。
 その他裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき。
 第1項本文の場合において、当該処分につき審査請求がされているときは、裁判所は、その審査請求に対する裁決があるまで(審査請求があつた日から三箇月を経過しても裁決がないときは、その期間を経過するまで)、訴訟手続を中止することができる。

(原告適格)
第9条  処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。

(取消しの理由の制限)
第10条  取消訴訟においては、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることができない。
 処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には、裁決の取消しの訴えにおいては、処分の違法を理由として取消しを求めることができない。

(被告適格)
第11条  処分の取消しの訴えは、処分をした行政庁を、裁決の取消しの訴えは、裁決をした行政庁を被告として提起しなければならない。ただし、処分又は裁決があつた後に当該行政庁の権限が他の行政庁に承継されたときは、その行政庁を被告として提起しなければならない。
 前項の規定により被告とすべき行政庁がない場合には、取消訴訟は、当該処分又は裁決に係る事務の帰属する国又は公共団体を被告として提起しなければならない。

(管轄)
第12条  行政庁を被告とする取消訴訟は、その行政庁の所在地の裁判所の管轄に属する。
 土地の収用、鉱業権の設定その他不動産又は特定の場所に係る処分又は裁決についての取消訴訟は、その不動産又は場所の所在地の裁判所にも、提起することができる。
 取消訴訟は、当該処分又は裁決に関し事案の処理に当たつた下級行政機関の所在地の裁判所にも、提起することができる。

(関連請求に係る訴訟の移送)
第13条  取消訴訟と次の各号の一に該当する請求(以下「関連請求」という。)に係る訴訟とが各別の裁判所に係属する場合において、相当と認めるときは、関連請求に係る訴訟の係属する裁判所は、申立てにより又は職権で、その訴訟を取消訴訟の係属する裁判所に移送することができる。ただし、取消訴訟又は関連請求に係る訴訟の係属する裁判所が高等裁判所であるときは、この限りでない。
 当該処分又は裁決に関連する原状回復又は損害賠償の請求
 当該処分とともに一個の手続を構成する他の処分の取消しの請求
 当該処分に係る裁決の取消しの請求
 当該裁決に係る処分の取消しの請求
 当該処分又は裁決の取消しを求める他の請求
 その他当該処分又は裁決の取消しの請求と関連する請求

(出訴期間)
第14条  取消訴訟は、処分又は裁決があつたことを知つた日から三箇月以内に提起しなければならない。
 前項の期間は、不変期間とする。
 取消訴訟は、処分又は裁決の日から一年を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
 第1項及び前項の期間は、処分又は裁決につき審査請求をすることができる場合又は行政庁が誤つて審査請求をすることができる旨を教示した場合において、審査請求があつたときは、その審査請求をした者については、これに対する裁決があつたことを知つた日又は裁決の日から起算する。

(被告を誤つた訴えの救済)
第15条  取消訴訟において、原告が故意又は重大な過失によらないで被告とすべき者を誤つたときは、裁判所は、原告の申立てにより、決定をもつて、被告を変更することを許すことができる。
 前項の決定は、書面でするものとし、その正本を新たな被告に送達しなければならない。
 第1項の決定があつたときは、出訴期間の遵守については、新たな被告に対する訴えは、最初に訴えを提起した時に提起されたものとみなす。
 第1項の決定があつたときは、従前の被告に対しては、訴えの取下げがあつたものとみなす。
 第1項の決定に対しては、不服を申し立てることができない。
 第1項の申立てを却下する決定に対しては、即時抗告をすることができる。
 上訴審において第1項の決定をしたときは、裁判所は、その訴訟を管轄裁判所に移送しなければならない。

(請求の客観的併合)
第16条  取消訴訟には、関連請求に係る訴えを併合することができる。
 前項の規定により訴えを併合する場合において、取消訴訟の第一審裁判所が高等裁判所であるときは、関連請求に係る訴えの被告の同意を得なければならない。被告が異議を述べないで、本案について弁論をし、又は弁論準備手続において申述をしたときは、同意したものとみなす。

(共同訴訟)
第17条  数人は、その数人の請求又はその数人に対する請求が処分又は裁決の取消しの請求と関連請求とである場合に限り、共同訴訟人として訴え、又は訴えられることができる。
 前項の場合には、前条第2項の規定を準用する。

(第三者による請求の追加的併合)
第18条  第三者は、取消訴訟の口頭弁論の終結に至るまで、その訴訟の当事者の一方を被告として、関連請求に係る訴えをこれに併合して提起することができる。この場合において、当該取消訴訟が高等裁判所に係属しているときは、第16条第2項の規定を準用する。

(原告による請求の追加的併合)
第19条  原告は、取消訴訟の口頭弁論の終結に至るまで、関連請求に係る訴えをこれに併合して提起することができる。この場合において、当該取消訴訟が高等裁判所に係属しているときは、第16条第2項の規定を準用する。
 前項の規定は、取消訴訟について民事訴訟法(平成八年法律第109号)第143条の規定の例によることを妨げない。

第20条  前条第1項前段の規定により、処分の取消しの訴えをその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えに併合して提起する場合には、同項後段において準用する第16条第2項の規定にかかわらず、処分の取消しの訴えの被告の同意を得ることを要せず、また、その提起があつたときは、出訴期間の遵守については、処分の取消しの訴えは、裁決の取消しの訴えを提起した時に提起されたものとみなす。

(国又は公共団体に対する請求への訴えの変更)
第21条  裁判所は、取消訴訟の目的たる請求を当該処分又は裁決に係る事務の帰属する国又は公共団体に対する損害賠償その他の請求に変更することが相当であると認めるときは、請求の基礎に変更がない限り、口頭弁論の終結に至るまで、原告の申立てにより、決定をもつて、訴えの変更を許すことができる。
 前項の決定には、第15条第2項の規定を準用する。
 裁判所は、第1項の規定により訴えの変更を許す決定をするには、あらかじめ、当事者及び損害賠償その他の請求に係る訴えの被告の意見をきかなければならない。
 訴えの変更を許す決定に対しては、即時抗告をすることができる。
 訴えの変更を許さない決定に対しては、不服を申し立てることができない。

(第三者の訴訟参加)
第22条  裁判所は、訴訟の結果により権利を害される第三者があるときは、当事者若しくはその第三者の申立てにより又は職権で、決定をもつて、その第三者を訴訟に参加させることができる。
 裁判所は、前項の決定をするには、あらかじめ、当事者及び第三者の意見をきかなければならない。
 第1項の申立てをした第三者は、その申立てを却下する決定に対して即時抗告をすることができる。
 第1項の規定により訴訟に参加した第三者については、民事訴訟法第40条第1項から第3項までの規定を準用する。
 第1項の規定により第三者が参加の申立てをした場合には、民事訴訟法第45条第3項及び第4項の規定を準用する。

(行政庁の訴訟参加)
第23条  裁判所は、他の行政庁を訴訟に参加させることが必要であると認めるときは、当事者若しくはその行政庁の申立てにより又は職権で、決定をもつて、その行政庁を訴訟に参加させることができる。
 裁判所は、前項の決定をするには、あらかじめ、当事者及び当該行政庁の意見をきかなければならない。
 第1項の規定により訴訟に参加した行政庁については、民事訴訟法第45条第1項及び第2項の規定を準用する。

(職権証拠調べ)
第24条  裁判所は、必要があると認めるときは、職権で、証拠調べをすることができる。ただし、その証拠調べの結果について、当事者の意見をきかなければならない。

(執行停止)
第25条  処分の取消しの訴えの提起は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。
 処分の取消しの訴えの提起があつた場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる回復の困難な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止(以下「執行停止」という。)をすることができる。ただし、処分の効力の停止は、処分の執行又は手続の続行の停止によつて目的を達することができる場合には、することができない。
 執行停止は、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、することができない。
 第2項の決定は、疎明に基づいてする。
 第2項の決定は、口頭弁論を経ないですることができる。ただし、あらかじめ、当事者の意見をきかなければならない。
 第2項の申立てに対する決定に対しては、即時抗告をすることができる。
 第2項の決定に対する即時抗告は、その決定の執行を停止する効力を有しない。

(事情変更による執行停止の取消し)
第26条  執行停止の決定が確定した後に、その理由が消滅し、その他事情が変更したときは、裁判所は、相手方の申立てにより、決定をもつて、執行停止の決定を取り消すことができる。
 前項の申立てに対する決定及びこれに対する不服については、前条第4項から第7項までの規定を準用する。

(内閣総理大臣の異議)
第27条  第25条第2項の申立てがあつた場合には、内閣総理大臣は、裁判所に対し、異議を述べることができる。執行停止の決定があつた後においても、同様とする。
 前項の異議には、理由を附さなければならない。
 前項の異議の理由においては、内閣総理大臣は、処分の効力を存続し、処分を執行し、又は手続を続行しなければ、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれのある事情を示すものとする。
 第1項の異議があつたときは、裁判所は、執行停止をすることができず、また、すでに執行停止の決定をしているときは、これを取り消さなければならない。
 第1項後段の異議は、執行停止の決定をした裁判所に対して述べなければならない。ただし、その決定に対する抗告が抗告裁判所に係属しているときは、抗告裁判所に対して述べなければならない。
 内閣総理大臣は、やむをえない場合でなければ、第1項の異議を述べてはならず、また、異議を述べたときは、次の常会において国会にこれを報告しなければならない。

(執行停止等の管轄裁判所)
第28条  執行停止又はその決定の取消しの申立ての管轄裁判所は、本案の係属する裁判所とする。

(執行停止に関する規定の準用)
第29条  前4条の規定は、裁決の取消しの訴えの提起があつた場合における執行停止に関する事項について準用する。

(裁量処分の取消し)
第30条  行政庁の裁量処分については、裁量権の範囲をこえ又はその濫用があつた場合に限り、裁判所は、その処分を取り消すことができる。

(特別の事情による請求の棄却)
第31条  取消訴訟については、処分又は裁決が違法ではあるが、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮したうえ、処分又は裁決を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるときは、裁判所は、請求を棄却することができる。この場合には、当該判決の主文において、処分又は裁決が違法であることを宣言しなければならない。
 裁判所は、相当と認めるときは、終局判決前に、判決をもつて、処分又は裁決が違法であることを宣言することができる。
 終局判決に事実及び理由を記載するには、前項の判決を引用することができる。

(取消判決等の効力)
第32条  処分又は裁決を取り消す判決は、第三者に対しても効力を有する。
 前項の規定は、執行停止の決定又はこれを取り消す決定に準用する。

第33条  処分又は裁決を取り消す判決は、その事件について、当事者たる行政庁その他の関係行政庁を拘束する。
 申請を却下し若しくは棄却した処分又は審査請求を却下し若しくは棄却した裁決が判決により取り消されたときは、その処分又は裁決をした行政庁は、判決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分又は審査請求に対する裁決をしなければならない。
 前項の規定は、申請に基づいてした処分又は審査請求を認容した裁決が判決により手続に違法があることを理由として取り消された場合に準用する。
 第1項の規定は、執行停止の決定に準用する。

(第三者の再審の訴え)
第34条  処分又は裁決を取り消す判決により権利を害された第三者で、自己の責めに帰することができない理由により訴訟に参加することができなかつたため判決に影響を及ぼすべき攻撃又は防御の方法を提出することができなかつたものは、これを理由として、確定の終局判決に対し、再審の訴えをもつて、不服の申立てをすることができる。
 前項の訴えは、確定判決を知つた日から三十日以内に提起しなければならない。
 前項の期間は、不変期間とする。
 第1項の訴えは、判決が確定した日から一年を経過したときは、提起することができない。

(訴訟費用の裁判の効力)
第35条  国又は公共団体に所属する行政庁が当事者又は参加人である訴訟における確定した訴訟費用の裁判は、当該行政庁が所属する国又は公共団体に対し、又はそれらの者のために、効力を有する。

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